僕らの生活を変えたスマホは、なぜ爆発的に普及したのか
数多のニュースやトピックスが瞬時に世界中を廻る高度情報社会の現在において、スマートフォンはなくてはならない端末だ。
2015年7月、日経BPコンサルティングの調査によれば、国民の2人に1人以上がスマートフォンを所持しているという。
これだけ多くのユーザーが使うようになったスマートフォン。いったいどのような経緯で普及したのだろうか。その歴史の流れを紐解いてみよう。
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ネット機能を持つハンドヘルドコンピューターとPDA
80年代からリリースされたノートパソコンは90年代に入って、デスクトップに匹敵するような、マシンパワーを実現するモデルも登場するほどの進化を遂げた。
同時に、更なるダウンサイジングを求めたハンドヘルドコンピューターも進化する。1994年に登場した、ヒューレットパッカードの『HP200LX』などはパソコン通信用のサーバーへのアクセスを可能としていたし、普及以前のインターネットメールの使用も可能だった。
また、1993年以降はAppleの『Newton』をはじめとする、さらに小型なPDA(個人用携帯情報端末)もリリースされる。いずれもコートのポケットに入るような端末でネットにアクセスして情報を得ることができる。
しかし、当時はモバイルルーターなどは存在せず、ネット用途の場合はデスクトップでの利用に限られていた。
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ポケットサイズのモバイルネット端末iモード
1998年に提供された10円メール端末(ポケットボード)を経て、パソコンではインターネットの利用が一般化していた1999年、NTTドコモは携帯電話でインターネット網にアクセスできるサービス、iモードをリリースする。現KDDIや現ソフトバンクもその流れに追従。
この携帯電話で初めてインターネットに触れる人が続出するなど、マスにインターネットが広がるキッカケともなった。また、2000年のJ-PHONEがカメラ付きの携帯電話をリリース。メールでいま撮ったばかりの写真を送るという文化が生まれる。
海外では、いまなお一部では人気の高い『BlackBerry』の初代機がリリースされる。
この時期はまさに群雄割拠、中にはポケットポストペットのような、エンターテインメントに寄ったモデルも登場したが、携帯電話とPDAはいずれも交わるようで交わらなかった。
時代を変えたWindows Mobile
交わらなかった理由は、リファレンスとなるOSが存在しなかったからかもしれない。
2003年にマイクロソフトがPDAおよび携帯電話用の『Windows Mobile』をリリースしてからは、携帯電話とPDAはお互いに急接近。そしていまのスマートフォンの原型となるモデルが登場する。
しかし、日本においてはクラムシェル型のハンドヘルドコンピューターなW-ZERO3の人気が高まるなど、WordやExcelなどのアプリが使いたいという声が多く、物理的キーボードが強く求められた時代でもあった。
最初は酷評されたiPhone
そして2007年に海外で初代iPhoneが発売される。日本に導入されたのは2008年発売のiPhone 3Gから。
当時は「爪先で押せない」などキーボードレスのタッチパネル端末に不満の声も寄せられた。
また日本の携帯電話では一般的だった絵文字がない、赤外線通信機能がない、ワンセグがないといった理由で否定する人も多かった。
しかし、いまやiPhoneがつくり出したといっても過言ではない、スマートフォンブームは一般層にも広がりを見せている。
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アプリ追加による多機能性も魅力の1つ
世界各国のエンジニアが作った数多のアプリを自由にインストールして、自分好みの機能を追加できるというメリットもある(従来の携帯電話はここが弱い)。
日本国内における、スマートフォンの普及に寄与したのはハードウェアだけではない。様々なネットサービスの存在も関係している。
特にTwitter、FacebookやLINEといったコミュニケーションツールの存在によって、スマートフォンへと手を伸ばしたユーザーも多いだろう。
写真を撮影し、好みのトーンにエディットして投稿できるInstagramのようなアプリも、あえてパソコンからは利用できない仕様ゆえ、そのコミュニティに属したいのであればスマートフォンを使うしかないのだし。
また、スマートフォンブームのせいで雑誌が売れなくなった、テレビの視聴率が下がった、という報道もされた。
意図としてはスマートフォンがヒマつぶしのアイテムとなり接触時間を占有し、同じく暇つぶしとしての雑誌やテレビ番組の価値が下がったのではと考えられる。
特にホームでの待ち時間など、数分という短時間で充実できる数多のソーシャルゲームの存在は大きいだろう。
手元の端末ですべての情報を受け取る時代に
パソコン用のサイトにアクセスしやすかったことから、ビジネスシーンでも活用されるようになっていくスマートフォン。
更には、縦持ちが多いスマートフォンの画面比率やタッチパネルといったUIに合わせた、スマートフォン向けのサイトデザインも増えてきた。
複数の情報を見比べるというなら、パソコンを使ったほうが効率的だ。しかし、端的に情報をインプットするというなら、ポケットから出した瞬間からネットに接続できるスマートフォンのアドバンテージは大きい。
たとえ、腕時計型の端末が進化したとしても、スマートフォンの優位性は変わらないのではないだろうか。
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